ボヘミアの冷たい風に吹かれて

時間と歴史の堆積が織り成す風景。その傍らを無力な旅人が駆け抜ける。



《プラハ ヴィート大聖堂-St.Vita》
14世紀。カレル橋同様カレル4世の命による建築。
プラハ城の中庭からの門をくぐると、眼前に突如出現する。
驚いた。
大きさもさることながら、その近さが見るものを圧倒する。
そこに大聖堂があることはもちろんみんな知っている。
だが、2つ目の中庭の閉ざされた静寂がその存在を見事に覆い隠してしまう。
その心憎い演出にまんまとはめられてしまった。

《プラハ 国立博物館》
19世紀末の建築らしいので、ネオルネッサンス様式といったところか?
個人的には、建物自体はあまり趣味ではないのだが、ヴァーツラフ広場から正面に望むその姿は大迫力だ。
これは国立博物館の左側面から。
勾配に調和した右側の町並みが美しい。

《プラハ ユダヤ人地区(ゲットー)》
世界遺産に指定されたトゥシェビチの例でもわかるように、ヨーロッパで姿を消しつつあるゲットー。
人通りの多い観光都市プラハではあるが、ここはひっそりとしている。
行き交う人も殆どいない。
19世紀末、民族運動の高まるカフカの時代、それまでの混沌とした町並みは、シナゴーグを除き一掃され、現在にいたる。
しかし、独自な雰囲気がここにはある。
戦前からのここの住民はたして何人いるのだろうか?

BARで一休み。

《ターボル(チェコ)》
15世紀始め「フス運動」のさなか、ヤン・ジシカ率いるフス急進派の軍事要塞として生まれた町。
スメタナの「わが祖国」にも登場する、チェコにとっては重要な場所。
その目的通り、折れ曲がった狭い路地が迷路のように入り組んでいる。
そんな歴史も感じ取れないまま、道行く人も少ない裏路地をひたすらさまよった。

《チェスキー・クルムロフ ヴィート教会》
蛇行したヴルタヴァ(モルダウ)川に抱かれた美しい町。
橋を渡るごとに流れの方向が違う。
まるで何本もの川が流れているかのようだ。
クルムロフ城からヴィート教会を望む。
ヴルダヴァ川に巻かれ半島状の土地に、家々が軒を寄せ合う。
両手で抱えられるかのような錯覚に陥る。

《チェスキー・クルムロフ クルムロフ城》
バスターミナル付近からクルムロフ城を望む。
クルムロフ城は13世紀に南ボヘミアの貴族、ヴィートコフ家によりゴシック様式で創建された。
その後主を変える度に増築、改築を繰り返し、ルネッサンス様式、バロック様式と複合され、現在の形に変貌していった。
町は16世紀のロジェンベルク家の時代に繁栄し、現在もそのルネッサンス都市の面影を色濃く残している。

エッゲンベルグの黒ビールは最高。

《ウィーン シュテファン寺院-Stephansdom》
ウィーンのシンボル的存在。南塔の高さはなんと137m。
この広場からケルントナー通りとグラーヘンが伸びる一番賑やかな場所。
この周囲に特に近代的なショッピングビルが多いのが残念だ。
周りの喧騒を見下ろしながら600年前から立ち続けているのかと思うと、なんだか不思議な気分だ。



《ショプロン(ハンガリー) 聖ミハーイ教会》
13世紀〜15世紀にかけて建てられたゴシック様式の教会。
ステンドグラスはかなり欠損が目立ち、ちょっと荒れた感じだが、なんだか妙に落ち着く建物だ。
観光客など誰もいない。
天気もいいし、のんびりとした時間が静かに流れる。
右側の礼拝堂にバラの花輪を持った人々が、ポツリポツリと現れる。
いったいなんの儀式なんだろう?





《ショプロン(ハンガリー) 中央広場》
楕円形の旧市街の内と外とではまるで別世界だ。
中世の頃、町を守っていた城壁は、今では殆ど残っておらず、代わりに旧市街に背中を向けた商店街がビッシリ取り囲んでいる。
観光客相手のみやげ物屋ばかりではない。
外では町の日常が流れている。
その現在の城壁から一歩内に足を踏み入れる。
景色は一変する。冬のせいなのだろうか?観光客はもちろん、道行く人も殆どいない。
静寂が町を包む。

どんなに寒くてもビールが旨い。

《ブダペスト ブダのヴルタヴァ川沿いの教会》
名前がわからない。ガイドブックにも載っていない。
そんなに古くはなさそうだから、ネオゴシックといったところか?
ペスト側からブダの丘を引きで撮ると必ず写ってしまう。
ちょっと気になる教会だ。

余談だが、ハンガリーでは「ブダペシュト」と発音する。

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